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ユーザーさまの声  Vol.3「デジタル作業分析システム」

人と技術に向き合い 基盤固めと新たな事業両立

ユーザーさま

金属精密部品加工を手掛ける、木下精密工業株式会社様
愛知県名古屋市
日本ミシンタイムス2015年11月15日号掲載記事より


ものづくりは人と技術、そして技能がつながって成り立っています。いずれの1つが欠けても目指すべき結果は出せない。時代が変わっても、ものづくりの基本は変わらないと思いますが、当社においてその過程で現場に必要とされる工作機械、また生産管理ソフトなどは進化し変わってきたと言えます」と語るのは、金属精密部品加工を手掛ける木下精密工業株式会社 代表取締役社長の木下治彦氏(名古屋市北区)だ。同社が生産管理システムDPA導入を決めたのは、昨年6月の事だ。70名の社員と共に5年、10年先を目指し導入について実務でリードした木下朋美取締役は「作業のしくみづくりと技術伝承を目的に導入を決めた」と語る。もともとアパレル縫製工場向けの生産管理システムであるDPA。機械加工業向けでは実績も未知数である。導入1年が経過した同社の今を聞いた。

木下精密工業株式会社は、木下治彦社長の父秀治氏が、1948年個人営業木下ミシン工業を創業したことから始まる。本格的な工業用ミシン部品の生産活動を開始したのは1965年。その5年後の1970年には木下精密工業株式会社を設立し、1993年、現社長である治彦氏が開発したミシン業界の革新的新製品『オートボビンチェンジャー』を東京ミシンショー(現FISMA TOKYO)で発表・発売し広く知られる事となる。

現在、本社工場(開発)をベースに、第二工場、第三、第五、第六、第七のそれぞれが役割を担う工場を構え、金属精密部品加工のスペシャリストとして期待に応えている。しかし激変するミシン業界の中にあって、順風満帆で今日に至ったわけではない。

日本のミシンメーカーの中国生産本格化に伴い、1990年代後半には、取引先ミシンメーカーなどから何らかのかたちで海外生産拠点を持つべきではないかとの勧めもあったという。

「中国、台湾を回りパートナーを探すなど、ギリギリまで熟慮したが、逆に日本で設備投資をし直し先端技術を導入することから、海外製品との徹底した差別化を図り生き残れると判断した」(木下治彦社長)。冒頭の言葉は、厳しい時代を乗り越えた木下氏の素直な思いだ。昨年は複数のマシニングセンター、そして今月末には炭酸ガス二次元レーザー加工機を導入する。常に最新の技術加工機を備える事にも可能な範囲で手を緩めない。

「企業の方向性として、先端設備への投資と、人材育成を止めさえしなければ、名古屋でのものづくりは可能だと思っています。難しい仕事を工夫して行う技術力による良品質なものづくりが出来るのは、家族的な雰囲気が土台となり、挑戦する者を応援する社風が受け継がれているからだと社員に感謝しています」と笑顔で語るのは朋美取締役。

何より『人と技術』に愚直に向き合うのが同社の特長でもある。

厳しい時代も諦めず、名古屋で生産を極めた結果、革新性に長けた同社のオリジナル製品『オートボビンチェンジャー』が生まれた。同機は日本にとどまらず、世界から注目され続ける画期的な製品の1つ。ミシン・縫製業界において労働集約型産業の革新とも言われる同製品は、第38回発明大賞の最上位にランクされた。数年前のCISMAでは、会場から盗難未遂が起こるなど、今や世界の縫製産地と呼ばれる国々からも革新的製品として注目度は最高ランクだ。

日本において各種部品製造、そしてオリジナル製品の研究開発、試作、そして製品化を進める中で生産管理ソフトの重要性をここ数年特に感じ始めたというのは朋美取締役だ。これまでも20年ほど前からソフトは導入していたと言う。

「生産管理システムはモノの最初から最後までは繋がらないのですが、所々を見るためのソフトは入れていました。単純に受注と出荷の管理。材料の管理などです。ちょうど新しい生産管理システムを探していたところ、ペガサスさんのDPAを知ることになり、活用することとなった」

同社は木下治彦社長の70代を先頭に、60代、50代・・10代まで社員の年代が途切れることはない。新しいものに興味を抱く若い社員も豊富だ。DPA導入の目的を、「作業のしくみづくりと技術伝承」と言い切った朋美取締役の言葉に反応が速かったのは彼ら社員だった。

「最初はビデオ撮影に慣れていないので、ぎこちなかったのですが、実際に撮影した動画を見せると自分の動作においていかに無駄があったか、一貫性がなかったか、そういった事に気付き始めたのです。そのグループ全体で撮影した動画を見ながら、生産技術部の工場内では、全員の作業を同じにしようということになりました。ただ、同じ事をするにしても個別で動作も違うので、どれが一番効率がいいのか、どういった動作が最良かなど何本も撮り溜めて一番良い人の動作を真似ていこうと、現場は時には笑いが起こるなど賑やかに、また真剣に作業効率についてこれまで以上に考える事にも結び付いてきたように思います」

DPA導入約1年経過した今年6月の改善実施報告書の一例は同社の利益に直接結び付くものでもあった。「横型MC21号機段取り替え作業の改善」では、着眼点を内段取り作業の外段取り化とし、機械の停止時間が改善前より4・4時間減少し、生産性47%の向上という結果を出した。DPAの金属精密部品加工業、機械加工業という異業種にも広がる魅力が実績となって表れた格好でもあった。

現在同社では、3つのグループが同時に活動を行っている。航空機部品の拡充を目指すべくJIS Q9100、9001の認証取得するためのグループ、現場改善のグループ、そしてDPAシステムのグループである。同社は現在、JIS Q9100認証取得を来年5月に取得する目標を掲げ社員一丸となって取り組んでいる。同認証を取得することにより、航空機メーカーと直接の取引が実現することになる。

「最終的には、航空機事業を工業用ミシン部品製造を支える(技術面・体力面)柱とすることが目標です。様々なチャレンジの中にDPAを活用して参りたい」(朋美取締役)。

木下社長は取材の最後に次のように語ってくれた。「DPAの導入で一部のところで確かな結果が出始めたところ。まだ使い始めて間もないので、今後さらに結果が出てくるものと期待しています。3つのグループで切磋琢磨し、いつでも使えるようにカメラを既に3台用意しました。これからも人と技術、そして技能を繋げながら、ものづくりに真っ直ぐに向き合っていきたい」

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